東京科学大学(Science Tokyo)生命理工学院は、3月7日に、本学大岡山キャンパス西3号館5Fの生命科学基礎実験室を使用して、小中学生親子向け科学教室「植物の構造と様々な色素」を開催しました。本イベントは生命理工学院が主催し、生命理工学院OB/OGらの支援と、東京科学大学基金事業、AirTrunk社、富士通株式会社、ビネット&クラリティ合同会社(東京科学大学認定ベンチャー)のサポートを受けて開催されました。本学ウェブサイトからの募集などを通じて小学4年生から中学3年生の親子、25組48人が参加しました。
はじめに、佐藤亮平元非常勤講師が植物の構造について講義を行いました。植物の構造の概要を伝えるとともに、葉の網の目構造である葉脈や植物が持つ色素について分かりやすく解説しました。
続いて実験を行いました。最初に、ムラサキキャベツからアントシアニンという紫色の色素を各自ですり鉢を使って抽出し、抽出した色素に酸性やアルカリ性の溶液を加えて、薄紫色からピンクや赤、または青や緑や黄色へと様々な色に変化する様子を観察しました。
酸性とアルカリ性の溶液をそれぞれ2つの濃さで加え、中央の何も加えていないムラサキキャベツの紫色との色の違いを観察するとともに、それに対応したpHをpH試験紙で調べました。科学教室で使用するには危険な強酸や強アルカリを加えた時の変化については、ビデオ撮影した実験動画を見て学びました。解説では、酸性条件でのアントシアニンの赤が、梅干しや紅ショウガなどの着色に長年使われてきたことなど、植物由来の天然色素が彩り鮮やかな日本の食文化に貢献してきたことも伝えました。
今回は新たに2つ目の色素実験として、ホウレン草の葉の色素をペーパークロマトグラフィーで分離する実験を行いました。100年以上前にロシアの植物学者ミハイル・ツヴェットが葉の色素であるクロロフィルやカロテノイドを分離した実験を、自分たちの手で簡略化して再現し、葉の緑の汁が黄色や緑、黄緑、オレンジと様々な色に分離する様子を観察しました。オレンジ色のβ-カロチンは通常の照明では色が薄いものの、ブラックライトをあてると蛍光を発して見やすくなることも体験しました。
葉脈の実験では、最初に、生きた葉に蛍光液を吸収させてブラックライトを当て観察しました。葉を蛍光液につけてからしばらく観察を続けると、主脈、側脈、細脈と蛍光液が浸透していく様子を見ることができました。この実験を通じて、植物の葉の細かな構造と水分を吸い上げる働きについて学びました。
また、葉脈のみをよく観察するために、あらかじめ薬品処理した数種類の葉から、葉肉を優しく除去して葉脈標本(スケルトンリーフ)を作成しました。葉の種類により様々な葉脈の構造があることなどを学びました。参加者は自身で作成した複数のスケルトンリーフをラミネートパウチ加工し、栞(しおり)にして持ち帰りました。
最後に葉脈形成パターンのコンピュータシミュレーションを紹介しました。植物の構造と、関数で示されるフラクタル図形との類似性を示しました。また、葉脈の構造と水が行き渡る速度について、枝分かれの数と吸い上げた水が葉に広がる速度の関係性を動画やグラフで示し、細かく枝分かれした葉脈構造のメリットを視覚と数値で感じてもらいました。
終了後のアンケートでは、参加者から「ブラックライトで葉脈を確認するのはきれいでした」「ほうれん草の葉を使いクロロフィルとカロテノイドをペーパークロマトグラフィーで分離したことが印象的でした。ポインセチアや他の葉でもやってみたいです」、「今回は各テーブルに先生がいらっしゃって、非常に懇切丁寧にフォローいただきありがとうございます」といったコメントがありました。