GENTEN Research Centerオープニングシンポジウムを開催

2026年7月24日 公開

2026年8月7日 更新

Spin-up 原点回帰-機転 Return to Origin – Expanding Human Potential 原点から拓く、人間の可能性

東京科学大学(Science Tokyo)GENTEN Research Centerは6月8日、湯島キャンパスの鈴木章夫記念講堂において「GENTEN Research Centerオープニングシンポジウム-Spin-up 原点回帰-機転 Return to Origin – Expanding Human Potential 原点から拓く、人間の可能性-」を開催しました。

GENTEN Research Centerは、日本文化に根ざした「一器多様」の思想を基盤に、スポーツサイエンスにとどまらず、医歯学、理工学、情報科学、生命科学、身体文化、人文社会学など、多様な分野を融合しながら研究を推進します。安全性・公正性・ウェルビーイングを重視したHuman-centered Scienceの創出を目指し、人間の可能性を広げる新たな知と価値の創出に取り組みます。

本シンポジウムでは、研究計画の発表、「Origin science and human potential」、「Human Performance & Adaptation」をテーマとしたパネルディスカッションとリアルタイムでの計測を披露し、センターの取り組みの方向性を示しました。

シンポジウムは対面式で開催され、行政機関や他の大学・研究機関、民間企業の方々および本学の教職員・学生、合わせて約300人が参加しました。

GENTEN「一座建立」プロジェクト 「スポーツ×芸術×センシング」 序破急:身体の同期と予測

清水希容氏(株式会社ミキハウス)
安納真理子 GENTEN 参画研究者(Science Tokyoリベラルアーツ教育研究院 准教授)
松井崇氏(筑波大学体育系 准教授)

一葉式いけ花・家元の粕谷尚弘氏が生けた生花がセットされている静謐な舞台にて、GENTEN Research Centerで参画研究者を務める安納真理子准教授が奏でる能管の音色とともにシンポジウムは始まりました。舞台に立ち込める霧の中から、空手家の清水希容氏が登場し、力強い空手の演武を披露しました。心拍センサーを安納准教授と清水氏に装着し、演武、演奏中の心拍を松井崇氏が計測しました。その結果、二人の心拍が同期していることがデータから示されました。

一座建立の舞台
能管を奏でる安納准教授
演武を披露する清水氏
心拍センサーについて説明する松井氏
舞台の装飾について説明する粕谷氏

Opening remarks コンセプト

室伏広治(GENTEN Research Center センター長/Science Tokyo副学長・教授)

センター長の室伏広治副学長(スポーツサイエンス担当)がGENTEN Research Centerの設立趣旨、目的、研究内容を紹介しました。Human Performanceだけでなく、生命科学の分野の研究も展開していくと述べました。

GENTEN Research Centerについて説明する室伏センター長

学長あいさつ

田中雄二郎(Science Tokyo 学長)

Science Tokyoの田中雄二郎学長が登壇し、室伏センター長が旧東京医科歯科大学の教授に着任した頃のエピソードを紹介しました。また、「さまざまな分野の方々とコラボレーションが生まれて本学が展開する善き社会、善き未来の実現に向けて進んでいってほしい」と激励しました。

開会あいさつをする田中学長

来賓あいさつ

増子宏氏(文部科学省事務次官)
遠藤利明氏(公益財団法人日本スポーツ協会会長/一般財団法人日本スポーツ政策推進機構会長)
齋藤昇氏(株式会社TDK 代表取締役 社長執行役員 CEO)

文部科学省事務次官の増子宏氏より来賓あいさつをいただきました。増子氏は「若手研究者が自由な発想で挑戦して、分野を超えて育っていく環境づくり。これは日本の将来にとっても非常に重要な試みであり、センターがその核を担うことを期待する」と述べました。

来賓あいさつをする増子氏

公益財団法人日本スポーツ協会会長および一般財団法人日本スポーツ政策推進機構会長 を務める遠藤利明氏より来賓あいさつをいただきました。遠藤氏は「アンチドーピングを含めた医科学研究の展開に期待している」と述べました。

来賓あいさつをする遠藤氏

株式会社TDK 代表取締役 社長執行役員 CEOである齋藤昇氏より来賓あいさつをいただきました。齋藤氏は「センターにおいて、分野を超えた人間の可能性を探索する挑戦は、新しい価値を生み出していくものであると期待している」と述べました。

来賓あいさつをする齋藤氏

海外研究者からのメッセージ

アレックス・シャレック博士(マサチューセッツ工科大学 Institute for Medical Engineering and Science 所長)

マサチューセッツ工科大学のアレックス・シャレック博士より、センターの開設にあたりメッセージが寄せられました。シャレック博士はメッセージ動画の中で「研究のブレイクスルーは人々のさまざまな交差によって起こると確信している。その交差点をセンターが担うことを期待している」と述べました。

シャレック博士のメッセージ動画

研究計画発表(1):原始生物にみる睡眠と意識の起源

金谷啓之(GENTEN コアメンバー・特任助教)

GENTEN Research Center のコアメンバーである金谷啓之特任助教は、原始生物の一種であるヒドラを対象に、睡眠の原点を研究しています。センターでは、生物の意識の消失機構の根本的な仕組みを明らかにして、人間に備わっている意識の機構とは何かを問い、ユニークな睡眠改善方法をつくっていきたいと意気込みを述べました。

研究計画を発表する金谷特任助教

研究計画発表(2):振動刺激による身体機能と適応の可能性

宮崎祐介(GENTEN 参画研究者/Science Tokyo工学院 准教授)

GENTEN Research Centerで参画研究者を務める宮崎祐介准教授は、ヒトにかかる衝撃・振動に関する研究を紹介しました。振動の衝撃に対してそれをどう遮断するか、それをいかに有効活用するかといった問いを得て研究を進めると説明しました。さらに人体の内部状態を評価し、それを実世界にフィードバック・介入していくことで、安全で快適な生活の実現を目指していくと述べました。

研究計画を発表する宮崎准教授

パネルディスカッション(1)「Origin science and human potential」

座長:
金岡恒治氏(早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授)
パネリスト:
齋藤昇氏(株式会社TDK 代表取締役 社長執行役員 CEO)
関根康人(GENTEN 参画研究者/Science Tokyo 未来社会創成研究院 地球生命研究所 所長・教授)
武部貴則(GENTEN 参画研究者/Science Tokyo 総合研究院 ヒト生物学研究ユニット 教授)
金谷啓之(GENTEN コアメンバー・特任助教)

早稲田大学の金岡恒治氏を座長に迎え、研究と社会実装を通じていかに社会貢献できるかというテーマでパネルディスカッションを行いました。各パネリストが自らの研究やビジネスの原点について述べました。自由な発想やベンチャースピリット、多方面とのコラボレーションを大事にしながら、既存の枠組みにとらわれない研究を期待する声があがりました。

左から、座長の金岡氏、パネリストの齋藤氏、武部教授、関根教授、金谷特任助教

Challenge Time/Human and Robot GENTEN「力の対話と同期」プロジェクト

孤独、孤立があらゆる病気に関係することから、コミュニティで一緒に人と接していくことが病気を防ぐとともに、生きがいにもなり得ます。そうした観点から、ロボットやAIが孤独、孤立を解決できるか、という課題に挑戦しました。
※ロボットを使った課題は株式会社AXISの協力のもと、安全性を確認した上で実施しました。

(1)ロボットとヒトが協働するエクササイズ:紙風船を挟んでロボットアームとヒトが音楽に合わせて同調してエクササイズを行い、その際のヒトの上腕三頭筋の筋活動とロボットアームの電圧の波形が示されました。

1. ロボットとヒトが協働するエクササイズ:紙風船を挟んでロボットアームとヒトが音楽に合わせて同調してエクササイズを行い、その際のヒトの上腕三頭筋の筋活動とロボットアームの電圧の波形が示されました。

ロボットとヒトが同調するエクササイズ

2. 心拍の同調:ロボットアームと登壇者複数人で同様のエクササイズを実施し、その間の心拍数を計測するとともに、エクササイズ参加者の心拍同期をモニタリングしました。エクササイズには田中学長と大竹尚登理事長も参加しました。

ロボットと登壇者によるエクササイズ

研究計画発表(3):リアルタイム生体センシング実演―汗中乳酸モニタリングとパフォーマンス解析、そしてその先へ―

中井琢(GENTEN コアメンバー・特任助教)

中井琢特任助教は、大腿部の筋の筋活動と汗の乳酸値を計測できるウェアラブルデバイスの模擬値を示しながら、音楽と光の演出の中でエルゴメーターを全力で漕ぐリアルタイム生体センシングパフォーマンスを行い、その直後に自身の研究内容の発表を始めました。研究と社会実装、そして教育政策の3つを軸に、低酸素に関する研究とアスリートを守るためのアンチドーピングに関する研究を展開していきたいと抱負を述べました。

センシングパフォーマンス中の中井特任助教

パネルディスカッション(2)「Human Performance & Adaptation」

座長:
久木留毅氏(日本スポーツ振興センター理事)
パネリスト:
山田陽介氏(東北大学大学院医工学研究科スポーツ健康科学分野 教授)
松井崇氏(筑波大学体育系 准教授)
宮崎祐介(GENTEN 参画研究者/Science Tokyo工学院 准教授)

日本スポーツ振興センター理事の久木留毅氏を座長に迎え、スポーツを中心にしたHuman Performanceに焦点を当てたパネルディスカッションを行いました。各パネリストがそれぞれのHuman Performanceに関する意見を述べました。山田陽介氏は筋肉の質と水の代謝について、松井氏は脳疲労やe-スポーツへの展開について、宮崎氏は脳震盪を例に脳への衝撃について述べ、それぞれの知見をもとに熱い議論が展開されました。久木留氏は、GENTEN Research Center が研究者をはじめとしたみんなが立ち返っていく場所になることを期待すると述べました。

左から、座長の久木留氏、パネリストの宮崎准教授、山田教授、松井准教授

Future Perspective/人体の再構成と一器多様、生命の未来へ

武部貴則(GENTEN 参画研究者/Science Tokyo 総合研究院 ヒト生物学研究ユニット 教授)

武部貴則教授は自身の研究から、内臓と運動の関連について紹介しました。室伏センター長が提唱する一器多様に基づき、研究の新しい地平が開け、そこから次世代に継承されるような新たな知が生み出されることを期待していると述べ、若い研究者を激励しました。

内臓と運動の関連について紹介する武部教授

産学連携サポート体制

飯田香緒里(Science Tokyo 医療イノベーション機構 機構長・教授)
阿久澤弘(GENTEN コアメンバー・URA)

飯田香緒里機構長は、医療イノベーション機構による産学連携支援の取り組みを紹介しました。企業と研究者のマッチング、知財戦略や資金調達、インキュベーション施設の活用を進めるとともに、契約・リスク管理にも取り組んでいると述べました。

産学連携支援の取り組みを紹介する飯田機構長

阿久澤弘URAは、既に産学連携の取り組みを進めている企業を紹介し、センター内の若手研究者への産業界からの注目度の高さについて述べました。

若手研究者への注目度の高さについて述べる阿久澤URA

Closing Remarks

室伏広治(GENTEN Research Center センター長/Science Tokyo副学長・教授)

室伏センター長より、参加者を対象に実施した「最も印象に残ったキーワードは何か」というアンケートの集計結果が発表され、「原点」「精力善用」「一器多様」が多いという結果が紹介されました。室伏センター長は、医工学の連携と社会実装を結び付けて、新たな成果を生み出せるようにセンターを運営していくと決意を述べました。

アンケートの集計結果を発表する室伏センター長

閉会あいさつ

大竹尚登(Science Tokyo 理事長)

閉会にあたり、Science Tokyoの大竹尚登理事長があいさつを行いました。本シンポジウムの内容を振り返り、多分野に横断する研究や、精神性や文化につながる研究をGENTEN Research Centerでは進めてほしいと所感を述べました。最後にGENTEN Research CenterとScience Tokyoの挑戦を応援してほしいと呼びかけ、閉会のあいさつとしました。

閉会あいさつをする大竹理事長

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  • 2026年8月7日 本文の編集を行いました。

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助教 大⾒武弘
URA 阿久澤弘