謹んで新年のごあいさつを申し上げます。2026年が皆さまにとって豊かな1年となりますよう、心よりお祈りいたします。
東京科学大学(Science Tokyo)は、皆さまの温かい応援とご支援を得て、設立から1年3ヵ月の航海を無事に続けてまいりました。教職員、学生、同窓会の皆さまの「共に新しい大学を創っていく」という強い意思と不断の努力、そして国内外の多くの皆さまからの励ましやご助言がなければ、この順調な航海は実現できませんでした。ここに改めてあつく御礼申し上げます。同時に、1法人1大学の国立大学法人で唯一となる理事長・学長体制を導入し、田中雄二郎学長との対話と相互尊重を積み重ねてきたことは、執行部と構成員との信頼関係を育む上で大きな力となりました。統合した大学として、本学独自の強みが発揮されたことも、この航海に欠かせない要素です。
さて、昨年を振り返って嬉しく思ったことは、日本から2人の研究者がノーベル賞を受賞したこと、本学研究者の優れた研究成果が多くのメディアで紹介されたこと、そして学生の皆さんのサークル活動を含めた活躍が目立ったことです。また、昨年12月19日には、世界最高水準の研究大学の実現を目指す「国際卓越研究大学」制度において、本学は認定候補に選定されました。これは、学生を含む構成員の皆さん、国内外の多くの方々との意見交換を重ね、丁寧な準備を進めた結果であり、コアチームと多くの関係者の努力の結晶です。
国際卓越研究大学の案の策定にあたって、私たちは大学統合を単なる組織の統合にとどめず、Science Tokyo のミッションである「『科学の進歩』と『人々の幸せ』とを探求し、社会とともに新たな価値を創造する」を基盤に、科学の力で善き生活、善き社会、善き地球を共創する研究大学の姿を考察しました。その解として導き出したのが、Visionary Initiatives(VI:ビジョナリーイニシアティブ)です。VIは、人々がかくありたいと願う未来社会の姿をビジョンとして設定し、そのビジョンの実現に向けて研究や教育を展開しながら、エコシステムを牽引する分野横断型の組織です。2028年度を目途に、約1,800人の研究者がVIに参画し、研究・教育の高度化と社会的インパクトの創出を進めてまいります。
今後、認定・認可のプロセスを経て、いよいよ新たな25年間が始まります。例えるなら、私たちは高くそびえたつ未踏峰に登るためのパスポートを手にしたクライマーです。これからの道のりは決して平たんではなく、険しいこともあるでしょう。国内では、運営費交付金や科学研究費の増額など明るい兆しが見える一方、国外には多くの災禍や課題が山積しています。こうした状況だからこそ、社会の皆さまや構成員と共に歩むにあたり、私は「穏」の文字を大切にしたいと考えています。余裕のなさや不確実さが続いたこれまでを振り返ると、穏やかな時間や笑顔の尊さを強く感じます。新たなステップに向かう今年は、険しい山道を皆さまとともに穏やかに進んでいきたいと思います。
2026年は、新たな一歩を踏み出す年です。一歩目とその先の数歩をいかに迅速に進められるかが肝心です。そのためにも、大学の向かう目的地を共有するべく、引き続き学内の対話を重ね、構成員全員で新大学を創り上げていきます。具体的には、タウンホールミーティングなどを通じて国際卓越研究大学としての本学の将来構想を説明し、意見交換を続けてまいります。そして、大学が一丸となって、善き生活、善き社会、善き地球の実現に向けて、社会の皆さまと共に歩みを進めてまいります。
皆さま、新たなScience Tokyoの挑戦にぜひご期待ください。2026年が皆さまにとって素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。
2026年1月
東京科学大学(Science Tokyo) 理事長 大竹尚登