脱炭素成長型経済構造移行推進機構・東京科学大学共催プログラム「GX Future Ecosystem Studio 2026」第2回ワークショップを開催

2026年10月29日 公開

異分野の「融合」による、GXエコシステムの共創を目指して

脱炭素成長型経済構造移行推進機構(以下、GX推進機構)が主催するプログラム「GX Future Ecosystem Studio 2026」(以下、G-FES)の第2回ワークショップ「産官学金によるエコシステム共創~東京科学大学Visionary Initiativesの取り組み~」を9月30日に、大岡山キャンパスで開催しました。

G-FESは、気候変動等の地球規模の統合課題に対応するための、産官学金の人材による「GXエコシステム」の構築を目指して昨年度にGX推進機構が始動した取り組みであり、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む大企業、スタートアップ企業、金融機関、ベンチャーキャピタル、政策当局など多様な分野からの参加者で構成されています。

本ワークショップでは、東京科学大学(Science Tokyo)が提唱する新たな研究体制「Visionary Initiatives(VI)」の思想・構想を学内外で共有し体験するための対話のフレーム「未来共創Dialogue」を活用しています。2回目となる今回は、VI構想と、GX領域の取り組みであるVIのひとつGX Frontierを紹介した後、エコシステム共創に関するレクチャーと、その考え方を実践的に体験するセッションを実施しました。

冒頭でのGX推進機構によるG-FESの紹介の後、大竹尚登理事長が「東京科学大学の VI 構想とエコシステム共創の取り組みについて」と題した講演を行いました。Science Tokyoとして国際卓越研究大学に認定されるまでのこれまでの歴史を紹介した後、ありたい未来社会像からその実現工程を構想し、研究の推進と長期的な政策を提案するというVIの背景と目的を説明しました。さらに、「善き生活」「善き社会」「善き地球」という3つのビジョンを実現するための8つのVIに分類される具体的な活動内容などを紹介しました。こうしたビジョン駆動型の取り組みを通じて、Science Tokyoは、国内外の産官学の多様なプレーヤーとの連携を強化し、エコシステムを牽引する新しい大学への変革を目指すという展望が示されました。

講演を行う大竹尚登理事長

続いて、GX Frontierプログラム・ディレクターの後藤美香教授(環境・社会理工学院)より、VIにおけるGXに関する活動について紹介がありました。GX Frontierがグリーントランスフォーメーションで実現を通じて目指す持続可能な未来を構成する4領域:「気候変動の課題克服」「地球モニタリングによる最適解の探求」「新たなエネルギー・資源の開拓」「ネイチャーポジティブの実現」について説明した後、各領域における代表的なプログラム事例を取り上げ、具体的な課題背景や研究対象などを紹介しました。あわせて、これらグリーントランスフォーメーションの実現に向けた取り組みは、従来の「連携」を超えた、G-FESのテーマでもある「融合」研究によって成し遂げられるものであると述べました。さらに、今年から始動した若手融合研究の取り組みに触れ、人文・社会科学を含む異分野が融合して第三の研究領域を創出する「真の融合研究」を通じ、社会的インパクトを生み出す社会実装につなげる取り組みを説明、GX推進機構との共創に関する協定も、この活動の一環に位置付けられると述べました。

講演を行う後藤美香教授

大竹理事長と後藤教授による講演の後、G-FES参加者との質疑応答を行いました。参加者からは、GXを推進する上で、産官学に加えて市民の価値観を結び付けるために大学がどのような役割を果たせるのか、様々なGX関連技術がある中で研究における重点領域はどのように選定しているのか、といった質問が寄せられ、活発な議論が交わされました。

質疑応答に続き、Global Vision Coordination Center (GVCC)の根本かおり特任准教授が、「エコシステム共創技術としての『「融合力」』」と題してレクチャーを行いました。エコシステムの歴史的変遷や主要類型、その課題と展望などを説明した上で、G-FESのテーマである「融合」が、エコシステム共創のエンジンとしてなぜ重要なのかを解説しました。そこでは、「融合」は、企画・構想の技術である「融合知力」、そしてそれを実装・駆動する技術である「融合動力」の二段階のプロセスに分解することができ、エコシステム共創に機能することが示されました。

引き続き、根本特任准教授によるファシリテーションのもと、G-FES参加者による体験ワークショップを行いました。「融合」の第一段階のプロセスである「融合知力」にフォーカスをあて、ありたい未来社会像からバックキャスティングし、異分野の知を融合させて実現しうる切り口やアイデアを検討しました。参加者は、旧東京工業大学未来シナリオカード*から個人で関心のある未来を選定し検討した上で、チーム内でアイデアを共有・統合した後、最後に全体に向けて検討結果を共有しました。エネルギー不足などに悩む必要がなくなりGXが実現した未来、人類が老いる・老いないを選択出来るようになった未来など、現在の常識からはかけ離れた未来に注目した多様なアイデアが発想されました。

根本かおり特任准教授による体験ワークショップの模様

本年度のG-FESは2027年3月まで活動を行い、また、G-FESを含めたGX推進機構とScience Tokyoによるエコシステム共創に向けた連携の取り組みは、さらにその後も継続的に発展していきます。

*旧東京工業学未来シナリオカード
旧東京工業大学(現・東京科学大学)のDLab(未来社会DESIGN機構)が、産学官民の対話を通じて描いた「人々の望むありたい未来」の姿。単なる技術予測やトレンド分析ではなく、社会の多様な可能性を具体的なストーリー(シナリオ)として表現したもの。

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